あまたの小さなコンパイラ
終末x言語SF https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15370938#1 でお読みいただけます
第一回小さなSFコンテスト応募作品。 共通書き出し: 朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであと七日になりました」と言う。から始まる小説を投稿する。
『朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであとX日になりました」と言う。』という終末を告げる書き出しから始まり、終末へのカウントダウンがなされることが記述された《文》が世界に出現してから三年が経過した。人々は《文》を各々の携帯端末にダウンロードし、編集し、独自の記述を行い、時に共有して楽しんでいた。各々の《文》に記載された内容は解釈され、世界に対して実行される。つまりは、現実化する。《文》の意味を巡って、ネット上のフォーラムでは活発な議論が繰り広げられた。 小さな花屋の店主であるタクマは、フォーラムで《文》について議論し、《文》を積極的に書き換えて楽しむ一人だった。《文》を書き換えれば、ネズミなどの動物になることも、世界を旅することもできる。その事実は、必然的に《文》通りに世界が終わることの確信をもたらしていた。訪れるお客に終末を飾る花束を売るタクマの元にある日、一人の女性客が訪れる。